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最高裁判所第二小法廷 昭和25年(オ)252号 判決 1952年2月22日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士斉藤元義の上告理由第一点について。

本件家屋は元被上告人の父泰輔の所有に属し、昭和二〇年九月二日同人の死亡によりその次男博夫が家督相続をして右権利を承継し次で昭和二一年七月五日右博夫も死亡したので三男たる被上告人がその母である中川兼の選定によりその家督相続をして右家屋の所有権を取得するに至つた事実は原判決が第一審並びに原審証人中川兼の証言により認定した事実である。論旨は被上告人が選定相続人として選定を受け得べき地位にあつたというだけでまだ相続手続を完了していないのに原判決は被上告人が家督相続をしたものとしその理由を説明していないと主張する、しかし家督相続人の選定は選定により効力を生じ届出は何等効力発生の要件でないから前示認定事実のように被上告人が家督相続人に選定された以上家督相続は効力を生じ被上告人は実体上本件家屋に関する権利を承継することは明かであつて何等その理由を説明する必要はない、従つて原判決には所論の如き違法なく論旨は理由がない。

同第二点について。

しかし本件訴訟において仮りに上告人主張のように被上告人の母兼に代理権なく従つて訴訟代理人たる山根弁護士に代理権がなかつたとしても被上告人は昭和二五年五月四日の原審口頭弁論で代理行為を追認したことは明かであるから右追認によつてその欠缺は補正されたものといわなければならない、従つて論旨は理由がない。

同第三点について。

しかし所論中川兼の受継及び参加申立については昭和二五年四月一日原審口頭弁論で適法に取下げたことが記録上明かであるから原判決には所論のような裁判遺脱の違法はない、従つて論旨は採るを得ない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条により主文のとおり判決する。

この判決は裁判官一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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